農地改革 agrarian land reform 2005 11 1
農民は、不老不死ではない。
数年前、以下のような話を聞いて、驚きました。
農村地域に、福祉施設を建設するにあたって、反対運動が起きたのです。
多くの人は、こうした地域では、まだ福祉に対する理解が足りないからだと思うでしょう。
しかし、反対の理由は、実に意外な理由なのです。
自分の農地に、福祉施設を建設してくれないから、反対するというのです。
この地域では、農業従事者が、みんな高齢化していて、
後継者もいないので、引退を考えている人が多かったのです。
そこで、自分の農地が、福祉施設に売れれば、大変有り難いと考えていたのです。
ところが、自分の農地が売れなかったので、反対運動となったらしいのです。
現在の農地法では、原則的に、
農地は、農民にしか売れないという規制があります。
しかし、農地を売りたくても、
周りを見れば、みんな、高齢化した農業従事者では、
買ってくれないでしょうし、実際に売れないと思います。
こうした不幸は、いつまで続くのか。
農民は、不老不死でもなく、スーパーマンでもない。
農民も、サラリーマンと同じように、年を取れば、体が衰え、働けなくなっていく。
サラリーマンは引退できるが、農民は引退できないのか。